2009年05月25日

りこい

アインシュタイン.jpg
 
 
 高知の方言で「りこい」という言葉があります。
 
 
 意味は「利口な人」。
 
 標準語で「あの人は利口な人だ」というところを、
 高知では「あの人はりこい」と言うのです。(名詞が形容詞化している)

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 標準語と、ちょっと違うのは、
 この「りこい」という言葉が、否定的な意味で使われているということ。
 
 
 僕の聞いた限り、高知の「りこい」に近い標準語は、
 「小ずるい」とか「口が達者だ」とか「抜け目がない」という意味。
 
 うっすらと、批判的な意味が込められているんです。
 
 
 Aさんが「Bという男はりこいでぇ〜」というときには、
 Bさんに対するちょっとした嫌悪感が見て取れるのです。
 
 面と向かって「あんたは、りこい」というケースは、あまり聞きません。
 
 「りこい」というのは、その人がいないところで使う、
 陰口のような雰囲気のある単語なんです。
 
 
 
 思えば、日本語って、「頭がいい」ということに、
 どこだか否定的な雰囲気を感じさせる言葉が多いです。
 
 「利口」は、子供や動物に対しては良い意味の言葉として使われますが、
 大人に対して使えば、言い方によってはバカにしたような
 雰囲気を感じることもあります。
 
 
 「賢い」も、そう。辞書を引けば、
 
  かしこ・い【賢い】
  
 1.頭の働きがいい。りこうだ。
 2.ぬけめがない。
 
 というように「抜け目がない」という、
 なんとなくネガティブな意味も含まれています。
 
 
 
 外国語に詳しいわけじゃないですけれども、
 英語だと「否定的な意味を含まない、頭がいいという意味の言葉」は、
 かなり多い気がします。
 
 clever,intelligent,wise.
 
 どれも(僕が英語を知らないだけかもしれないけれど)、
 否定的な雰囲気を感じません。
 
 クレバーやインテリジェントという単語からは、
 ハリウッドの青春映画に出てくる優等生の、
 成績はトップクラスで、アメフト部の主将で、
 親父さんはエリートビジネスマンで、本人もイケメン(メガネ無し)、
 輝く未来の待つ17歳高校生の姿が思い浮かぶのですが。
 
 日本語の「利口」「賢い」からは、
 どうもそういう人物像が浮かび上がりません。
 
 銀縁メガネを光らせて、政治家の裏で暗躍する官僚のような
 イメージが浮かび上がってしまうのは、僕だけでしょうか。
 
 
 
 日本では、利口な人物よりも、ちょっとくらい馬鹿な人物のほうが、
 ずっと愛されてきたのだと思います。
 
 落語の主人公になるのも、大抵が「馬鹿」ですしね。
 
 今だったら「障害者」の範囲に含まれてしまうような人でも、
 「与太郎」として社会で市民権を得られていたのが、
 昔の日本の価値観だったんじゃないのかと思います。
 
 そこでは逆に「りこい」人というのは、
 あまり良く思われていなかったのでしょう。



 いつから、この価値観が姿を消してしまったのかは分かりませんが、
 現代は、多くの人が利口になろう、利口になろうと、
 日々がんばっているような気がします。
 
 一生懸命、勉強して、学位をとって、資格をとって。
 
 社会全体が「利口」を目指して動いているような感じがあるのですが、
 「利口」がポジティブに捉えられるようになったのは、
 せいぜい、ここ数十年のことです。
 
 日本の歴史のほとんどにおいて、「利口」は悪口であったのですから。
 そしていまだに田舎(高知)では、「利口」は悪口なのですから。
 
 そうそう皆が、利口を目指さなくても良いんじゃないかとは思います。
 
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posted by 加藤のどか at 11:45| 高知 ☔| いろいろなこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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