2009年04月27日

小さなでっかい乾燥機

乾燥機.jpg
 
 【前回までのあらすじ】
 
 人生二度目の米作りを記した、去年の秋の稲作日記。
 サリークイーンの乾燥は、はちまきさんの乾燥機では最低張込量に達しない
 ため、行えないことが判明。さて、どうしたらサリーの乾燥が行えるのか?
 
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続きを読む前に

  
 話は2年前にさかのぼります。
 
 
 僕がはじめて田んぼを借りたころ。
 農協の集まり(飲み会)で、隣に座った方から、こんなことを言われました。
 
 「カトー君はトラクター持ってるが? 持ってなかったら、やるでー」
 
 2年前、その一言で僕はトラクターをゲットしてしまったのです。
 
 
 僕がもらったのは、20年ほど使われてきた、乗用トラクター。
 まだまだ立派に動きます。ただ、その人が去年(今から言えば3年前)、
 新品のトラクターを買ったから、もう使わなくなったというのです。
 
 で。トラクターをもらったはいいのですが。問題がありました。
 僕はトラクターを使ったことがない。どう動かしたらいいか、分からない。
 
 
 そこで、僕がもらう予定となっている20年前のトラクターと、
 同じような古いトラクターを使っている人のところで、
 練習(&コーチ)させてもらおうと思ったのです。
 
 最新型のトラクターと、古いトラクターでは動かし方もずいぶんと
 違うでしょうから。出来るだけ古いトラクターの動かし方を
 教えてもらおうと思ったのです。
 
 
 
 そして出会ったのが、Kさん。
 
 僕がもらうトラクターに負けず劣らずの、古いトラクターを使っていました。
 Kさんのトラクターで練習させてもらい、僕は操作のイロハを
 教えてもらったのです。
 
 
 Kさんはトラクターに限らず、とても古い機械を現役で使っていました。
 20年、30年は当たり前という古さの農業機械を、今も使っていたんです。
 
 別にドケチだから新しいものを買わないというのではなく、
 そこにはある理由がありました。
 
 
 Kさんが使っていたトラクターは、個人所有のものではなく、
 集落(10軒くらいの農家の集まり)での共同所有のもの。
 
 小さい農家になると、トラクターやコンバインなどの大型機械を
 個人所有していないことがあります。そういう農家に貸し出すための、
 共同所有の農業機械だったんです。
 
 Kさんは、集落の「農機レンタルセンター(仮名)」の責任者。
 
 その組織は、集落みんなの出資で運営されているので、
 高価な最新型の農業機械を買うことはできません。
 
 そこで、どっかの農家が捨てるような機械をタダ同然で引き取ってきて、
 冬(農閑期)の間にコツコツ修理して、レンタルしていたんです。
 
 ボランティアみたいなものですね。
 
 Kさんが使っていた20年前のトラクターも、もとはといえば、
 どこぞの農家が使わなくなったので数万円で譲ってもらったもの。
 
 機械修理が得意なKさんが、それを動けるように修理したものなのです。
 
 Kさんが取り仕切る「農機レンタルセンター(仮名)」の倉庫には、
 ありとあらゆる、古い農業機械が転がっていました。
 
 
 
 さて。話は現代(去年の秋)に戻りまして。
 
 
 
 サリークイーンが少量すぎて機械乾燥できなさそうだと分かったときに、
 僕はKさんに相談してみました。何か方法はないだろうか、と。
 
 すると、乾燥出来るというのです。
 
 はちまきさんをはじめ、通常の人が持っている乾燥機では
 400キロくらいは無ければ乾燥機にかけられませんが、
 Kさんの「農機レンタルセンター(仮名)」には、
 その半分量くらいでも稼動する乾燥機があるというのです。
 
 
 
 Kさんの「農機レンタルセンター(仮名)」を訪れると、
 巨大な乾燥機が3台ありました。
 
 どれも、農家が使わなくなったものを「タダ」で引き取ったといいます。
 
 そのうち最も小さな1台は、最も古い、30年前の機械でした。
 
 
 昔の乾燥機は一般的に、今のものよりも、
 一度に乾燥できる量が少ないそうなのです。
 
 技術の発展とともに、一度で乾燥できる量が増えてゆき、
 乾燥機は大型化していったそうです。
 
 普通の農業の場合、小さいことははマイナスに働きます。
 
 いっぺんに乾燥できる量が多ければ、それだけ、
 少ない回数で乾燥が済むんですから、普通はそのほうが便利です。
 
 だから、最も小さな(といっても、民家の2階に届くくらいの大きさの)
 乾燥機は、ここ2年は全く使われていなかったといいました。
 
 残りの2台で、集落の人の乾燥は賄えてしまっていたからです。
 
 
 しかし。
 
 
 いつもは短所となる「小ささ」が、僕のサリークイーンに限っては、
 何物にも変えがたい長所となりました。
 
 小さいがゆえに不便であり、2年も使われていなかった乾燥機だけが、
 少量のサリークイーンを乾燥させることが出来たのです。
 
 
 ラピュタの飛行艇のエンジンルーム(ドーラの旦那がいるところ)を
 彷彿とさせるような、機械だらけの倉庫。ここが、農機レンタルセンター。
 
 その倉庫の隅っこに、その小さな――小さいといっても民家の2階まで
 届くくらいの大きさの――乾燥機は、肩身を狭めて座っていました。
 
 2年ぶりにKさんが灯油を注ぎ込み、火を点す(ともす)と、
 小さな乾燥機は轟音をあげて動き始めました。
 
 小さな覗き窓からは、細長いサリークイーンが、
 コインランドリーの洗濯物のように回転しているのが、確認できました。
 
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posted by 加藤のどか at 11:45| 高知 ☀| 農業のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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