2008年12月09日

巨大蜘蛛

 
 高知の山奥に、引っ越してきた日。
 
 新しい家に、荷物を運び込み、窓を開けて風を通し。
 これから始まる新生活に、不安と夢を抱いていた、あの日。
 
 
 
 事件は、風呂場で起きました。
 
 
 
 風を通すために、風呂場の窓を開けようと、手をかけた瞬間。
 
 何か動くものが、視界の端を横切りました。
 
 ふと目をやると。
 
 
 
 
 
 巨大なクモがいます。
 
 
 
 
 
 大きさは、CD1枚分。
 昔なつかしきシングルCDじゃないですよ。普通のCDぐらいの大きさ。
 
 壁に張り付いたクモは、すごい速さで天井へ移動してゆきます。
 
 クモの全身は、黒っぽい毛で覆われています。
 
 
 
 タランチュラだっ!
 
 間違いない、タランチュラだ。テレビで見たことある。
 
 全身に鳥肌が立ちました。
 
 
 
 何故、高知の山奥にタランチュラがいるのか、分かりませんが。
 
 いるものは、いるんです。巨大なクモが、こちらを睨んでいるんです。
 
 幻覚ではありません。覚せい剤を打った記憶もありません。
 
 
 
 とりあえず、風呂場は封鎖! 厳戒態勢!
 
 ハリウッド映画に出てくる、黄色い「CAUTION」というテープが
 手元にあれば、あれを風呂場の前に張り巡らしたい気分です。
 
 そして、サイレンを鳴らし、赤いパトランプの光を浴びせたい気分です。
 
 
 
 武器は無いか? ものども、武器を持てぇい!
 
 奥さんが手渡してくれたのは「傘」。今、手に入る最強の武器です。
 
 こいつで、クモの周りの壁を叩きながら脅かして、
 なんとかして窓の外へと追いやる作戦です。
 
 
 
 傘という、なんとも頼りない武器を片手に。
 (心の中で)CAUTIONテープをまたぎ、対決の場へと足を踏み入れます。
 
 
 
 ヤツは、まだ天井にいます。
 
 とりあえず、窓を開け放ち。
 
 なんとか、この窓へと、あのクモを追い込まなくてはいけません。
 
 
 
 おそるおそる、傘の先で、
 クモから50センチほど離れた天井を刺激し、振動を送ってみます。
 
 
 図解すれば、こういう↓形です。
 窓の反対側から刺激し、窓へと追い込む作戦です。
 
 ┏━━━━━━━━━━━━┓
 ┃  クモ 傘      ┃
       傘      ┃ 
 窓     手      ┃
        僕     ┃
 ┃      僕     ┃
 ┃ 湯船   僕     ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━┛

 
 ところが、なかなかクモが反応しない。
 いくら、離れたところから、ドンドン天井を叩こうとも、動かない。
 
 
 
 死んだのか?(希望的観測)
 
 
 
 50センチくらいの距離をおいて始めた「傘での天井振動攻撃」ですが、
 だんだん距離は近くなり、今や10センチ。
 
 
 
 ちょっと、クモに触れてみようかな?
 
 
 
 ほんの少し、傘の先が、クモの足に触れた瞬間。
 
 
 
 
  天 井
   ↓
   ↓
   ↓
   ↓
  ボトッ
 
 
 
 
 イヤァァッァァアァァアアァッアァァ!!!
 タランチュラ落ちてきたシィィィイイエァイァアィ!!!(゜△ ゜)
 
 
 
 パニックになるタランチュラ。
 
 そして、パニックになる僕。
 
 
 
 必死に
 「傘の先端でクモの周囲の床や壁を刺激し窓へと追い込む作戦」
 を実施! 勇気を振り絞って実施! がむしゃらに実施!
 
 
 
 クモは、文字通り、逃げるようにして、窓から出てゆきました。
 
 
 
 素早く、窓を閉め!
 
 家の外から、風呂場の窓を見てみると!
 
 家から追い出されたアイツがいます。外壁に張りついています。
 
 
 
 今までの戦いは、幻覚ではありませんでした。
 
 
 
 タランチュラの出る家。
 
 何故だ? タランチュラは、熱帯の生き物ではなかったのか?
 
 誰かが無責任に捨てたペットが、高知県では野生化しているのか?
 
 
 
 明るい新生活を向かえるはずの、高知の新居には。
 
 かなりインパクトのある、先客がおりました。
 
 
 
 
 
 
 ・・・と、いうのが。
 
 僕と「アシダカグモ」の、初めての出会いです♪(゜▽ ゜)
 (タランチュラじゃなかったヨ!)
 
 その後、必死になってネットで情報収集したところ、
 件(くだん)のクモの名は、アシダカグモということが判明。
 
★画像を見たいという度胸のあるヤツは、自己責任でクリックしろ!
 
 http://www.asahi-net.or.jp/~AQ6T-HRG/p200004.htm
 http://bunbuku2.web.fc2.com/s-asidakagumo.html
 http://mushinavi.com/navi-insect/data-kumo_asidaka.htm

 ↑こんなヤツが、風呂場に出たわけです。
 
 
 この外見からは、どう見ても、
 噛まれたら5分で死に至るレベルの「劇毒蜘蛛」なんですが。
 
 
 しかし。
 
 
 この「アシダカグモ」というヤツ。
 
 毒は、全くありません。
 基本的に、性格は臆病であり、人間に危害を加えることは一切なし。
 
 それどころか、アシダカグモの主食は「ゴキブリ」なので、
 家の中のゴキブリを一掃してくれる「益虫」だということです。
 
 アシダカグモが1〜2匹いたならば、
 その家のゴキブリは絶滅すると言われているくらいの、
 「全自動ゴキブリホイホイ(無料)」こそが、アシダカグモの正体。
 
 アシダカグモは、ゴキブリと違い、
 人間の食物の上を動き回り、雑菌を振りまくということも、ありません。
 
 やっていることだけを見れば「すごくイイヤツ」らしいんです。
 
 
 
 がっ。
 
 
 
 あんなものが家にいるのは嫌っ!
 
 ゴキブリがいてもいい! アシダカグモは嫌っ!
 
 と、僕は思います。
 
 
 
 事実。
 
 今でも、ときどき、アシダカグモは出現します。
 
 そのときは、再びパニックですよ。
 トイレで夜中に出会おうものなら、マジで「ひいっ」とか言っちゃいますよ。
 
 そんなときは、虫取り網を持ち出して、何とかして捕獲します。
 
 殺すのは嫌ですからね。
 
 命がどうのこうのより、あんな巨大蜘蛛を殺すのなんて、不可能。
 そんな度胸は、僕には装備されておりません。
 
 毎度、アシダカグモが出るたびに、虫取り網で捕獲し、
 歩いて1分ほどの河原へと放ちにいきます。
 
 
 
 このアシダカグモ。
 関東以北には出現しません。
 
 近畿・中国・四国・九州などの、暖かい地方に出現する生き物です。
 
 
 
 西日本で、田舎暮らしを考えていらっしゃる方々へ。
 
 
 
 この蜘蛛。確実に出ます。ゼッタイに出ます。
 
 といっても、やはり嫌でしょう。普通は嫌です。
 
 
 
 では、どんな対策法が、効果があるのか。
 
 「こまめに掃除をして、餌であるゴキブリを家から無くす」
 というのが、メジャーな対策法ですが。これは、二番目の対策法。
 
 
 
 一番の対策法は「無視」です。気にしないこと。
 
 実害は全く無いんですから、壁に張り付いていようが、何してようが、
 視界に入れないこと。ゴキブリホイホイが働いていると思ってください。
 
 
 
 事実、生まれてから田舎に住み続ける生粋の田舎民は、
 「無視」という方法で対応しています。
 
 僕が「手のひらぐらいある、でっかい蜘蛛が出たんですよぉ〜!」
 なんて言っても。
 
 「ああ、いるね〜。うちにもいるよ〜」
 
 くらいのテンション。
 
 何それ? 何そのローテンション? ありえないんだけど。

 こっちが期待する反応は
 「あの巨大蜘蛛! うちにも出るよ! そのたびにパニックだよね!」
 という、「あるある体験」をしたいんですが。
 
 「クモいるよ〜。で、それがどーかしたの?」的なテンション。
 頭おかしいよ、あんた。少しぐらいビックリしろよ! あんなのが出たらよ!
 
 しかし、この「無視するスキル」こそが、田舎暮らしには必要なのです。
 
 
 ここで一句。
 
 
 
 
 
   『恐るべし サラブレッドの 田舎者』
 
 
 
 
 
 僕がアシダカグモを無視できる日々は、やってくるのでしょうか。


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タグ:蜘蛛 昆虫
posted by 加藤のどか at 13:38| 高知 晴れ| 田舎暮らしのこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする