きょうご紹介するのは、松本永光著『塩屋さんが書いた塩の本』です。
何週間か前に。
メルマガの下の欄(本文ではないところ)で、
シャンプーについての話を書いたところ。
読者の方から「私は塩で髪を洗っていますよ」
というメールをいただきました。
ほう。塩とな。(゜o ゜)
そういえば、塩を洗剤代わりに使うとか、塩風呂に入るだとか、
いろいろ「塩」に関する噂は聞いたことがありますが。
噂を聞いているだけで、塩なるものにどういう力があるのか、
改めて自分の脳味噌を検索しなおしてみると、ほとんどデータがありません。
「塩=しょっぱさの素」ぐらいのイメージです。情けないことに。
ちょいと興味が湧いてきましたので、早速本を一冊、買ってみました。
それが、きょうご紹介する『塩屋さんが書いた塩の本』。
身近な存在であり、必要不可欠な存在ながら、
普段あまり意識したことのない「塩」についての一書です。
著者の松本氏は、『塩屋さんが書いた塩の本』のタイトル通り、塩屋さん。
それも、皆さんゼッタイご存知の、超大手の塩屋さん。
「ハ・カ・タ・の・塩!」の社長さん(創業者)です。
塩の、プロ中のプロの人です。
塩とは何ぞや。と、問われたときに。
中学校の化学の授業の記憶を、
まだ脳味噌からアンインストールしていない人ならば。
「塩とは、塩化ナトリウム。NaClのことである」
と、答えるかもしれません。
中学校の期末試験ならば、これで○がもらえるのかもしれませんが。
実際には、塩=塩化ナトリウムではありません。
塩の「主成分」は、たしかに塩化ナトリウムです。
辞書を引くと
しお〔しほ〕【塩】
塩化ナトリウムを主成分とする塩辛い味の物質。
と、あります。
あくまで「主成分」なんですね。
塩≒塩化ナトリウムであり、塩=塩化ナトリウムではないんです。
空気の主成分が「窒素」であるからといって、
空気=窒素ではないのと、同じようなことですね。
では、塩化ナトリウム以外に、塩には何が含まれているかというと。
マグネシウム・カリウム・カルシウムなどの、さまざまな成分が含まれています。
これを通常「にがり」と呼びます。
「にがり健康法」などの「にがり」ですね。豆腐を固める「にがり」です。
塩の中の塩化ナトリウム以外の部分が、にがり。
塩化ナトリウム+にがり=塩、というわけです。
従来の塩とは、多量に「にがり」を含んだものでした。
本書によれば、明治時代の「塩」に含まれる「塩化ナトリウム」は、74%。
たったの74%です。のこりの26%は「にがり」だったんですね。
それが時代を経るにしたがい、純度の高い塩化ナトリウム抽出技術が開発され、
「にがり」の割合は、下がっていきました。
現在、最も多く消費されている「塩(普通の塩)」の
塩化ナトリウム割合は、99.9%%近くになります。
塩化ナトリウム以外の、にがり分が多量に含まれる塩を「自然塩」。
99.9%が塩化ナトリウムの塩を「精製塩」と呼びます。
では。
「自然塩」と「精製塩」は、どのような違いがあるのでしょうか。
こんな実験があります。
アサリに砂を吐かせるために「塩水」を使うということは、
料理をやる人ならば、ご存知だと思いますが。
この「塩水」を、「精製塩水」と「自然塩水」にした場合。
どのような違いが現れるのでしょうか。
実験したところ。
【自然塩】からつくった塩水に入れたアサリは、
数分のうちに塩を噴き上げはじめました。
中には、1メートル近くも塩を飛ばし、
あたりを水浸しにしてしまうようなアサリも出現します。
一方。
【精製塩】からつくった塩水に入れたアサリは、
20分以上経ってからも、ほとんど塩水を噴き上げませんでした。
一見、同じような「塩水」ですが、
アサリにとっては、大きな違いのある2種類の塩水なのです。
※サイト下部に実験写真
⇒ http://www.nichienken.org/siohyakka/hyakka5_aji.html
精製塩と自然塩の違いは、実際になめてみればハッキリと分かります。
精製塩は、ピリピリするような、痛いしょっぱさがあります。
自然塩は、まろやかな、少し甘味のあるようなしょっぱさです。
これは、味覚が鋭い人でなくとも分かります。
スーパーで、普通の「食卓塩」と、ちょっとお高い「海の贈り物」みたいな
名前のついた自然塩を買ってきて比べれば、誰でも違いが分かります。
どちらが体に良いかは明らかだと思いますが、
現在、日本で消費されている塩のほとんどは、精製塩。
そして。
まだ、「安くて質の悪い(体にあまり良くなさそうな)塩」と、
「高くて質の良い(体に良さそうな)塩」という区分があった上で、
『うちは家計が苦しいから精製塩を使う』という判断ならいいんですが。
普通は、塩に「精製塩」と「自然塩」があるということを知らずに、
塩といえば「食卓塩(精製塩)」という感じで、
ただ選んでしまっているということが、多いと思います。
精製塩と自然塩には、他にもいろいろな違いがあるのですが、
まぁ、詳しくは本を読んでもらうとして。
さらに。
塩には食用以外の役割も多いのです。
その一つが、冒頭でちょっと触れましたが、洗剤としての役割。
実は、塩というのは、PH10.6にもなる超アルカリ性物質です。
これで食器を洗えば、ツルツルピカピカになり、
当然、洗い残しがあっても健康に害は無し。(塩なんだから)
もちろん、海に流れたところで環境に害もなし。(塩なんだから)
塩で体も洗えるし、髪も洗える。
万能洗剤としての役割も、塩にはあるのです。
身近な、誰にとっても必要な存在ではあるけれど、
その正体のほとんどを我々が知ることのない「塩」。
塩のプロが、塩について余すところなく教えてくれるのが。
本書『塩屋さんが書いた塩の本』。
食卓を、そして日々の生活を、より豊かにするために、
ぜひ知っておいてほしい知識だと思います。
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